先日、あるサイトで「人生の中で震える映画」についての投稿を見かけました。
そこで思い浮かんだのが、2012年のインド映画『マダム イン ニューヨーク』でした。
正直に言うと、「震える」という表現が適切かは分かりません。
でも、確実に心を動かされ、何度も劇場に足を運んだ映画でした。
2012年か13年頃、シネマテークたかさきで初めて観て、その後2度、3度と繰り返し観に行った記憶があります。
なぜこの映画なのか
もちろん、名作と言われれば『タイタニック』や『グリーンマイル』など、誰もが知る作品もあります。
でも、あえてそれらを選ばなかったのは、差別化という意味もありますが、何より自分にとって特別だったのがこの作品だったからです。
『マダム イン ニューヨーク』は、夫と子どものために人生を捧げてきたごく普通のインド人主婦が、ひょんなことから家族に内緒でニューヨークの英会話学校に通い始め、そこで自信と人生の新たな喜びを見出していく物語です。
主演は15年ぶりの復帰作となったインドの国民的女優シュリデヴィが務めました。
監督・脚本:ガウリ・シンデー
エグゼクティブ・プロデューサー:アニター・アーナンド
音楽:アミット・トリヴェディ
【キャスト】
シャシ:シュリデヴィ、夫、サティシュ:アディル・フセイン、娘、サプナ:ナビカー・コーティヤー、息子、サガル:シヴァンシュ・コーティヤー、姉、マヌ:スジャーター・クマール、姪、ラーダ:プリヤ・アーナンド、デヴィッド先生:コーリー・ヒッブス、機内の乗客:アミターブ・バッチャン
言語と文化への気づき
今回、Huluで久しぶりに観直してみました。
やはり楽しい映画でした。
そして新たな発見もありました。
インドでは英語が第二言語として広く使われており、大人も子どもも普通に英語を話す中、主人公だけが英語が苦手で家族からもからかわれます。
アメリカで姪の結婚式に出席するため単身で早めに渡米し、たまたま見つけた英会話学校に通い始めます。
そこでのドタバタ劇が物語の軸になっています。
この映画の魅力の一つは音楽です。
街中を散策するシーンで「グッチグッチグッチ」と何度も繰り返すヒップホップ系の楽曲が印象的でした。
ノリだけといえばノリだけなのですが、映画のトーンに本当に合っていて、観ていて楽しくなってきます。
インド映画といえば激しい踊りのイメージがありますが、最後の結婚式のシーンではまさにそんな雰囲気が存分に味わえました。
観ていて気になったのは、インドでヒンディー語の立場はどうなっているのだろう、ということでした。
日本では英語を覚えたくても苦労する人が多い中で、多くの国で英語が必須になっているのが現実です。
個人的な記憶との重なり
そういえば昔、日本精工に派遣で働いていた時、フィリピンの方々が多くいました。
女性も男性も、多くの人が日本語を流暢に話していて、グローバル化を実感したものでした。
ただ、一人だけ日本語がまったくダメな男性がいて、日本精工の社員によく怒られていました。
フィリピンの女性から「あの人、英語はペラペラなんだよ」と聞いて、なぜアメリカなど英語圏に行かずに、こんなに怒られる日本にいるのだろうと疑問に思ったこともありました。
時代の変化と映画の普遍性
最近の若い人たちを見ていると、YouTubeなどで英語を自然に操っている姿に驚かされます。時代は確実に変わっているのでしょう。
今回改めて映画を観て、当時と同じように楽しめましたし、感動もしました。
「震える」ほどではなかったかもしれませんが、ふと「母国語より英語の方が大切なのだろうか」という新しい疑問も生まれました。
映画に残る美しさ
主演のシュリデヴィさんは2018年2月24日、54歳で亡くなられました。
この映画の撮影時は40代後半でしたが、とても若く美しい女性でした。
人は去っても、映画の中で永遠に輝き続けます。
それは本当に素晴らしいことだと思います。
『マダム イン ニューヨーク』は決して大作ではないかもしれません。
でも、一人の女性の小さな冒険と成長を通して、言語や文化、そして自分らしく生きることの意味を考えさせてくれます。
そんな映画に出会えたことを、今も感謝しています。
ぜひ、ご覧になってみてください。
楽しめるし、新たな発見があるかもしれません。
あなたも何かに挑戦してみませんか?
