共感が止まらない!『バッド・ジーニアス』の社会への挑戦とは?

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1.作品情報

2017年、ナタウット・プーンピリヤ監督長編2作目として本国タイで公開され、国内興行収入1位、16の国と地域でサプライズヒット(うち中国・香港・ベトナム・マレーシア・ブルネイマカオ・フィリピンではタイ映画史上歴代興収1位)を記録、日本でも満席続出となった話題作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のリメイクです。

製作は『コーダ あいのうた』でアカデミー賞作品賞を受賞したスタッフが手がけています。

上映期間 7月25日(金)~8月7日(木)
監督 J・C・リー
出演 カリーナ・リャン、ジャバリ・バンクス、ベネディクト・ウォン
上映時間 97分

2.あらすじ

貧しい家庭で暮らすリンは、全科目で学年トップの成績を収める天才的な頭脳の持ち主で、名門高校に特待生として迎え入れられる。 ある日の試験中、親友を救うために奇想天外な方法で解答を教え、好成績を取らせてしまう。

そんなリンの才能に目を付けたのが親友の恋人。富豪弁護士を父に持つ彼は、学校の劣等生たちを救済する"危険なビジネス"を持ちかけてくる。 しかしそれは、世界を跨ぐ《前代未聞のカンニング計画》の始まりだった―!

3. 第一印象:カンニング手法の複雑さ

正直な第一印象として、カンニングの方法があまりにも複雑で「こんなもの覚えられるはずがない」と思いました。

あなたは人生で一度も不公平だと感じたことはありませんか?

この映画は、そんな現実を打ち破る勇気を描いています。

しかし、この作品には表面的なエンターテインメントを超えた、より深い社会的メッセージが込められているのではないでしょうか。

4.リンの行動に見る社会への反発

リンは確かに優秀で才能に恵まれています。 一見、お金のためにカンニング技術を磨いているように見えますが、私には彼女の行動の背景に、既存の社会制度への反発があるように感じられます。

現代社会の多くの制度は、歴史的に白人・ヨーロッパ系の価値観に基づいて構築されてきました。 時として理不尽に思える仕組みも、「当然のもの」として受け入れることを強いられる現実があります。

5.人種と格差社会への視点

リンの行動は、そうした白人優位の既存秩序に対する一種の抵抗なのではないでしょうか。 アメリカやヨーロッパで根強く残る格差社会や人種差別の構造に対し、彼女なりのやり方で立ち向かおうとしているように思えます。

近年のアメリカ・ファーストといった排他的思想が台頭する中で、この映画のメッセージはより一層重要性を増しています。 興味深いのは、主要人物の人種構成です。

アジア系のリンと黒人のバンクという、共に優秀でありながら既存の権力構造に翻弄される二人の対比が印象的でした。 一方で、白人上流階級の描かれ方には、ややステレオタイプ的な部分も感じられました。

6.タイ版との比較と上映時間について

この作品について調べると、2017年にタイで公開された原作がアジア各国で記録的なヒットとなり、今回のハリウッド版リメイクに至ったという経緯があります。

タイ版は2時間を超える長編だったらしく、今回の97分版では物足りなかったという感想も見かけましたが、私には適度な長さで良い感じに終わり、すっきり感があって良かったです。

これは人それぞれの感じ方だと思いますが。

7.批判的意見への理解と私の解釈

カンニングを美化している」という批判的な意見があることも理解できます。 しかし、私はこの作品を単純な犯罪娯楽映画としてではなく、現代社会の構造的問題を問いかける作品として捉えたいと思います。

人の危うさや社会の矛盾を巧みに描いた、時代性のある作品だと感じました。

8.総評

結末はスッキリとした終わり方で、エンターテインメントとしても十分楽しめる作品です。 多様な視点から解釈可能な、奥深い作品でした。

あなたはこのカンニングの難しさについていけましたか?