作品情報
時の支配者 4K修復版
キャスト
ジャファール:ジャン・バルモン / シルヴァード:ミシェル・エリアス / ピエール:フレデリック・ルグロ / マトン王子:イヴ・マリー / ベル:モニーク・ティエリー
スタッフ
監督・脚色:ルネ・ラルー / 設定・脚色:メビウス / 原作:「ペルディド星の孤児」ステファン・ウル / 音楽・サウンドデザイン:ピエール・タルディ、クリスチャン・ザネジ
あらすじ(映画.com より一部抜粋)
砂漠の惑星ペルディッド星で、巨大なスズメバチに襲われ父を亡くした少年ピエルは、天涯孤独の旅を続けていました。
父から託された最新式のトランシーバー・マイクで、父の友人ジャファーたちに助けを求めますが、ジャファーたちは恐るべき惑星に囚われの身となってしまいます -。
ルネ・ラルーが、再びステファン・ウルの「ペルディッド星の孤児」を元に、バンド・デシネの巨匠メビウスの協力を得て制作しています。
メビウスは、キャラクターデザインから衣装、宇宙船、背景、色彩の設定、ストーリーボードの作成まで担っています。
映画選択への迷い
今回は映画を選ぶのに随分悩んでしまいました。
遊びごときでそんなに悩むことがあるのか、と思うのですが、頭の中では「109シネマズ高崎って今月で閉館なんだよ。できることなら通い詰めて、最後の最後、花道で送り出したいよなぁ」という気持ちがありました。
そこまでお世話になったかは別にして、ほんの少しそんな思いもありました。
上映作品は戦争に絡んだ映画だったり、ファンタスティック・フォー、スーパーマン、ホラー系の日本映画も数本と様々でした。
戦争映画について言えば、ちょうど今年で戦後80年になります。
語り部の後継者も少ないと聞きますし、そういう意味で映画を観るのはとても大切なことだと思っています。
しかし、私自身は年齢的にもう観すぎて、これ以上は観たくないというのが正直なところです。
特に『火垂るの墓』を観てしまうと、心が潰されるほど辛くなってきます。
もし自分が同じ立場だったらどうするか、常に問いかけながら生きていく辛さが長く続き、そんな矢先に妹が亡くなって……正直辛くて観ていられません。
この映画が、こんな風に思うきっかけになったのだと思います。
それに、この時期が自分の誕生日でもあって、なんだかなぁという気持ちもあります。
『はだしのゲン』という映画も、昔はよく学校で上映されていましたが、いつの日からか上映会自体がNGになっているらしいです。
あまりに悲しすぎるので今の子にはきついということなのかもしれません。
本当はこの時期に戦争映画は大切なはずなのに。
2025年は『雪風 YUKIKAZE』や『長崎ー閃光の影でー』など、素晴らしい映画が公開されます。
次に、ヒーロー物SF。
私自身大好きで、観たら楽しめるだろうと思いつつ、今年は気持ちが進みませんでした。
子供が観るものだし、それを喜んで観ている自分って何だろうと思ってしまったのでしょうか。
むしろ、スタッフ一同、きっとエンターテインメント性を強く出して多くの人が楽しめる映画を作っているのですから、楽しめるはずなのに。
ただただ、気乗りがしなかった、ということでしょう。
そしてホラー系の映画。
今年は結構映画化されていて色々とあったのですが、映画.comなど見ると酷評が多いから少し躊躇しました。
あまりに面白くないと言われると、本当かよ、となる反面、損したくないし、ここは気持ちを抑えて無難なのを選んだ方がいいのでは……という思いが強かったのだと思います。
「時の支配者」を選んで
結局シネマテークたかさきで、フランス=ハンガリー合作の『時の支配者』というアニメ映画を観ることにしました。
鑑賞して思ったのは、本当にいい映画だったということです。
内容もよく練られていて、とても良かったです。
惑星での効果音がとても良くて心地よさすら感じてしまいました。
音楽がずっと流れるわけではなく、効果音でまさに宇宙空間だとこんな風になるのかなぁと思わせるような印象すら受けました。
舞台は他の惑星で、1000年先なのか2000年くらい先の話なのか、とてつもなく未来の話のように感じられました。
今の技術では、恒星間ですらおそらく何千年もかかるでしょうし、生命体のいるような惑星なんて太陽系を見てもわかるような有様です。
でも映画ですし、アニメですし、構成だけでもしっかりしているととても楽しめます。
1982年の日本のアニメ界ではどんな作品をやっていたのか調べてみると、『わが青春のアルカディア 無限軌道』や『超時空要塞マクロス』、『太陽の子エステバン』、『スペースコブラ』、『まいっちんぐマチコ先生』などをやっていた時代でした。
これを調べていて、ほとんど知らないなぁという空白の時代なのかもしれません。
最後の『まいっちんぐマチコ先生』だけ知っていました。
時代的背景を見ると、まったく引けを取らないアニメでしたし、面白かったなぁ、とすら思いました。
改めて、自宅に帰り念のためHuluにあるのかなとふと思い、見つけてしまって「わざわざ観る必要もなかったのかな」と思いつつ、翌日もう一度おさらいで観てしまったほどです。
やはり、質のいい出来で、修復版ということでしたが、全く遜色ありませんでした。
今でも残る印象は確かだと思います。
劇場再公開で今も絶大な人気を誇るフランスのSFアニメーション『ファンタスティック・プラネット』(1973)を生み出したルネ・ラルー監督が、同じステファン・ウルの原作を元に、偉大なるバンド・デシネ作家メビウスの協力を得て制作したのが『時の支配者』(1982)です。
奇怪なビジュアル、世界観が強烈なインパクトを残した前作に比べ、より洗練されたデザインのキャラクター、美術、メカニックが、アクションと詩情にあふれた宇宙の冒険ファンタジーを彩っています。
(TCエンターテイメント一部抜粋)
帰り道で思ったこと
帰りは18時ちょっと手前、8月中旬にヒグラシが鳴いていました。
ちょっと首を傾げる印象です。
昔なら、ミーンミンミン、ミンミンゼミあたりがうるさく鳴いている時期ですから。
しかも、高崎市内では聞いた覚えがなかったので、やっぱり大きく気候が変わっているんじゃないかなと改めて思えるくらいでした。
昔から中旬以降は涼しくなってきますし、虫の音も聞こえますが、最近では8月をちょっと過ぎると夜は涼しく感じることが多くなってきていると感じるようになりました。
改めて、温暖化で気候の変動も人が気づくくらいには変わっているんじゃないでしょうか。
ルネ・ラルーは生前、SF作品を撮る理由について尋ねられた際に、「病的で犯罪に満ちたこの世界を生き延びるには、想像の世界へ逃げ込める芸術を創り出すことが最も良い方法ではありませんか?
SFは――アニメーション映画もそうですが――すべてが可能であり、すべてが異なっている宇宙なのではないでしょうか。」と語っています。
そして自身の作品について問われた時には「SFは、作家が意識的にせよそうでないにせよ、自分の情熱、道徳、倫理観をそこに置いていく溜まり場のようなものです。
すべての芸術作品は -結局のところ -一種の自画像なのです」と言葉を残しています。(映画.com より一部抜粋)
最後に
今回の映画は、Huluでも鑑賞できます。
もし、この感想を読んで気になったらぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか?
ご覧になったら、ぜひ感想も聞かせてください。
イマジネーションにあふれる世界観と唯一無二の独創性で、時代を超え熱狂的に愛されるSFアニメーション。
確かにそんな作品だったと思います。
