(C)クロックワークス・レオーネ
上映期間
8月29日(金)~9月4日(木)
基本情報
監督: 小関裕次郎
原作: 半村良
主演: 宇野祥平、前田旺志郎、吉村優花
出演: 猪塚健太、三上寛、和田光沙、安藤ヒロキオ、ほたる、山本宗介、麻木貴仁、北村優衣、森羅万象、いまおかしんじ
上映時間: 103分
あらすじ
夜ごと隣の愛の囁きが響き渡る下町のとあるボロアパートの庭に、ある夜突然正体不明の物体が現れた。中から出てきたのは⾃ら“宇宙⼈”を名乗る全裸の男(宇野祥平)。宇宙船の故障で不時着したのだという。アパートに暮らす⽥所(前⽥旺志郎)ら住⼈たちは、⾏くあてもなく傷ついたその男を“宙さん”と名付け、ひとまず⽥所の部屋に居候させることに。「星に帰りたい」という宙さんの願いを何とか叶えようと奔⾛する住⼈たち。果たして宙さんは無事“故郷”へ帰ることができるのか!?
観る前の不安
SF作家・半村良の原作ということで、事前調査なしに勢いでチケットを購入しました。
映画.comでの酷評やR15指定を後から知り、鑑賞前は不安もありましたが、シネマテークたかさきでの上映ということもあり、期待もしていました。
舞台挨拶付きの回でしたが、混雑した中での鑑賞は、正直なところ少し気が重かったです。
統一感のない映画
この映画は観客を困惑させる作品でした。
古いアパートを舞台にした昭和的な人情コメディかと思えば、頻繁な濡れ場シーンに戸惑います。
現代では非現実的な隣人関係の描写も含めて、何を軸に評価すればいいのか迷ってしまいました。
現代では、近所にどのような人が住んでいるかを知ることは稀です。
市営住宅に住む私でも、団地内清掃で顔を合わせる程度しか交流がありません。
映画で描かれるような密接な隣人関係は、どこか懐かしく、現実味に欠けているように感じました。
しかし、昭和生まれの人にとっては、そのレトロな雰囲気が当時の良さを偲ばせる、心憎い演出だったのかもしれません。
全裸の宇宙人という設定の必然性については、最後まで理解できませんでした。
濡れ場シーンの多さも含め、「本当に必要だったのだろうか」という疑問は拭えません。
田所に見た若い頃の自分
しかし、最も印象に残ったのは主人公・田所の人物描写でした。
ヒロインにフラれた途端に豹変する彼の姿を見て、若い頃の自分を思い出しました。
振られた時の情けない振る舞い、感情をそのままぶつけてしまう未熟さ。
田所の大人げない行動は、過去の自分への反面教師として映りました。
昨日の現実で目の当たりにした「大人げなさ」
ところが昨日(2025/8/29派遣先最終日)、現実世界でも別の種類の「大人げなさ」を目の当たりにする出来事がありました。
派遣先での最終日、常に強い口調で怒られ、
「大人にもなってそんなことも分からねぇのか」
と侮辱を受け続けた相手に、私は歩み寄ってペンを返そうとしました。
散々な扱いを受けていても、最後は礼儀を尽くそうと思ったのです。
しかし返ってきたのは
「なんで返すんだよ、そのまま置いときゃいいんだよ」
という冷たい言葉でした。
これまでの罵倒を考えると、相当な言葉だと感じました。
さらに驚いたのは、会社組織としての対応でした。
契約終了を決めたのは会社側なのに、感謝の言葉は一切ありませんでした。
そこまで邪魔な存在だったのかと考えさせられました。
自分の振る舞いがそれほどおかしかったとは思えないだけに、この対応には「こんな会社、首になってよかった」と思えるほどでした。
映画と現実で見えた「大人の対応」の意味
田所の幼稚な恋愛感情の爆発と、昨日の会社での大人げない対応。
映画と現実、両方で「大人の対応とは何か」を考えさせられました。
田所を見て過去の自分の未熟さを振り返る一方で、組織として、そして個人として、大人がいかに大人げない行動を取るかも目の当たりにしました。
理不尽な状況でも最後まで礼儀を重んじる姿勢こそ、真に大人の対応なのかもしれません。
しかし、改めて考えてみると、昭和の時代は今よりも礼節を重んじる風潮があったのではないでしょうか。
現代社会は、どこか冷徹さが際立っているように感じられます。
舞台挨拶で感じたこと
舞台挨拶には、宇野祥平さんと吉村優花さん、そして監督が来ていました。
群馬での開催は嬉しい限りです。
トークは、群馬が日本で一番暑かったという話題から始まりました。
終盤、吉村さんが感極まって涙ぐむ場面には少々驚きましたが、非常に印象的でした。
オーディションで苦労された話など、作品に込めた想いが伝わってきて、理解が深まりました。
舞台挨拶の終盤、記念撮影の時間があり、お客様がそれぞれスマートフォンなどで撮影されていましたが、スマートフォンの性能ではこの程度の画質にとどまりました。
昔と比べるとスマートフォンのカメラ性能は向上していますが、それでも多少の粗さは残っており、視聴に耐えうるレベルの画像かと思います。
帰宅途中にラジオで知ったのですが、熊谷市が40℃を超えていたそうですね。
群馬がそれ以上暑かったわけではないと思いますが…。
総評
映画としては、昭和的な人情味、SF要素、大人向けシーンが統一感なく混在し、作品としての完成度には疑問が残ります。
しかし、田所という人物を通して、そして現実の体験と重ね合わせて、「大人とは何か」を深く考えさせられました。
完璧ではない作品だからこそ、観る者の内省を促すこともあります。
そういう意味で、この映画は私にとって予想外の気づきをもたらしてくれた作品となりました。
まとめ
それにしても、本当に暑い一日でした。
昨日、一昨日と予報で週末は猛暑になると言われていましたが、まさにその通りになっています。
以前ブログで触れた、子供の体感温度が大人より7度高いという話も、こうした暑さの中では現実味を帯びてきます。
体感温度40°なら、子供は47°くらいです。
よろしければ、その時のブログ記事も参考にしてみてください。
今回の映画について、ブログ記事を書くにあたり、熟考を重ねました。
内容に一貫性を持たせることの難しさを痛感しています。

