はじめに

障害者が働く場を見つけるのは簡単ではありません。私が体験した高崎市のA型事業所での職場体験では、無給であることが一切説明されず、支援機関の対応にも疑問を感じました。
この記事では、事実ベースでその問題点を共有し、同じ経験をする人を減らしたいと思います。また、支援機関の隣にある癒しの場所についても触れます。
ソーシャルピースでの職場体験:無給の説明なし
私は高崎市のA型事業所「ソーシャルピース」で職場体験をしました。手続きはハローワーク高崎で日程を決め、障害者就業・生活支援センターエブリィを通じて連絡を進めました。
1月15日から17日までの3日間、午前9時30分から午後4時まで、実働5時間半の体験期間に参加しました。ゴミ処理場での作業は、今でも鮮明に記憶に残っています。
主な業務内容は以下の通りです。
瓶の選別: 茶色、透明、赤色など、様々な色の瓶を、その状態に合わせて分別しました。
缶の選別: ラインで流れてくる缶を選別しましたが、中には分別が不十分なものも見受けられたため、同様に手作業で選別を行いました。
ペットボトルの選別: きれいなもの、汚れているもの、破損しているものなど、状態に応じて分別しました。
3日間、集中的に5時間半の作業に取り組んだものの、無給であったことには正直なところ、割り切れない思いがあります。
私のように注意欠如多動症の診断を受けたグレーゾーンにいる人間は、生きづらさを感じながら一般企業で働いている人も少なくありません。それだけに、あれだけの時間と労力を費やしたにも関わらず無給というのは、いささか納得がいかないと感じます。
一般企業なら、試用期間って言われる内容です。確かに、精神障害者でも1級2級となると更に難しいと感じるところはあるかもしれません。しかし、ハローワーク高崎、エブリイ、ソーシャルピースのどこでも、「職場体験が無給である」という説明が一切ありませんでした。無給が当たり前のような周囲の態度にも違和感を覚えました。
| 項目 | 問題点 |
|---|---|
| 厚生労働省要件 | 職場体験は給付必須、障害者は「無給」表記で差別的 |
| ばるーん対応 | 聞き流し、繰り返し質問で感情的誘導、信頼ゼロ |
厚生労働省の職場体験の要件では、
「職場体験に給付がないのはありえない」と明記されています。
しかし、障害者の場合、「職場体験は無給」とされている点が気になります。
この表現は、障害者を「中学生以下の扱い」と誤解されかねない差別的なニュアンスを含んでいると感じます。
障害者も労働の対価を受ける権利があるはずです。海外、例えばスウェーデンなどでは、障害者向けの就労支援プログラムに対して国が補助金を拠出し、最低賃金の70〜80%程度を保証するケースが多いと聞いています。
高崎市障害者SOSセンターばるーんの対応

この問題を相談するため、後日、高崎市障害者SOSセンターばるーんに連絡しました。しかし、担当者の態度は話を聞く気がないように感じ、非常に残念でした。
相談員の方は、私の話を聞きながら、まるで「そんなことは国が決めたことだから、私に言われても困る」という雰囲気を醸し出しているように感じられました。さらに、体験だから無給は当然、という口ぶりでしたが、実質的にはきちんと労働している自覚があったため、非常に不快な思いをしました。
加えて、わざと同じ質問を何度も繰り返して、感情的にさせて二度と利用させないように仕向けているのではないかと感じ、途中で相談を打ち切ることにしました。障害を持つ人を感情的に追い詰めることが、果たしてそんなに素晴らしいことなのでしょうか。少々、やり方が卑怯ではないかと感じました。
何度か怒鳴ってしまったこともあって、その点は反省する点だけど障害者からするとこんなところに相談して良いのかなって思ってしまいます。
障害者の悩みに寄り添うべき機関が、こうした対応では信頼できません。無給の職場体験やその説明不足について、真剣に向き合ってほしいと思います。
ばるーん隣の癒しの場所

「ばるーん」の対応には残念な思いをしましたが、隣接する総合保健センター2階の休憩ラウンジは、私にとって心のオアシスです。豊富な椅子がゆったりと配置され、読書をしたり、ただ静かにくつろいだりできる空間は、「ばるーん」の事務的な印象とは対照的に、温かい雰囲気に満ちています。
この場所の心地よさを、より多くの人に知っていただきたいと願っています。日によって利用者の数は異なりますが、多い時には4、5人、少ない時には私一人ということもあります。私はそこで、しばし眠ってしまうこともあります。

日々の生活でさまざまな困難に直面する私にとって、このようなセカンドプレイスやサードプレイスは、心のエネルギーを充電するために不可欠な場所です。ここ以外にも、もう一か所か二か所、心安らげる場所があれば、より穏やかな気持ちで日々を過ごせるでしょう。
まとめ
障害者の職場体験が無給であること、その説明が一切ないこと、そして支援機関の不誠実な対応は、障害者の働く権利を軽視していると感じます。
私はこれからも、こうした問題をブログで発信し、障害者が尊重される社会を願います。そして、ばるーん隣の休憩ラウンジが、もっと多くの人に知られることを願っています。
でも残念ながら、障害者自身もそれが当然と思っているところがあります。一人が声をあげても、きっと誰も立ち上がらないでしょうね。なぜなら、職場体験が無給、それっておかしくないって最初に聞いて現場の職員がおかしいと思ってないんだから、変わらないよね。
【追記:後日談】
後日、あのばるーん騒ぎに気付いたエブリイ担当者から、「高崎市では支払いが発生する」との連絡があり、手続きを行った結果、日当として1日1,000円が支払われました。
……やったー、と喜ぶべきではないようですね。
賃金は16,252円とのこと。
それを3,000円で済ませようとは……。
しかし、高崎市はまだマシな方なのかもしれません。他の自治体ではどうなのでしょうか。海外、例えばオーストラリアやドイツなどでは、障害者の職場体験に対しても最低賃金が保障されることが一般的です。これに比べると、日本における制度の遅れは否めません。
最後に、いくつか留意していただきたい点があります。本体験談はあくまで個人の経験に基づくものであり、特定の自治体の対応事例の一つです。
本作に登場する自治体や事業所は実在のものですが、冒頭でも述べましたように、事実に基づいて構成されているとはいえ、全ての自治体や事業所が同様の対応を行うとは限りません。
全国的に相談員の質にはばらつきがあり、障害当事者の実体験を十分に理解できない担当者が配置されることもあるようです。厚生労働省が定める「障害者総合支援法」では、相談支援において「本人の意向尊重」が原則とされていますが、残念ながらその原則が十分に機能していない事例も散見されます。
また、事業所全体で一貫した対応がなされているとは限らず、一部の職員のみが対応している現状も見受けられます。もちろん、困難な状況下においても、懸命に職務を遂行されている方々がいらっしゃることも承知しています。これらの点について、ご理解とご配慮をいただけると幸いです。