『二宮金次郎物語 愛と情熱のかぎり』:再建の偉業をもっと見たかった私の感想

基本情報

1998年製作/118分/日本

配給二宮金次郎物語製作委員会

劇場公開日:1998年7月4日

出演寺尾聰林泰文細山田隆人(子役)、久我陽子真野響子川地民夫西岡徳馬沢田亜矢子、佳那晃子、竹本孝之ベンガル大泉滉十勝花子江戸家猫八

レオナルドAI

高崎中央図書館で開催されたDVD上映会で、『二宮金次郎物語 愛と情熱のかぎり』を観ました。1998年の作品なので、今から27年前。

竹本孝之さんが出演していて、懐かしい気持ちになりました。二宮金次郎は、江戸時代後期の農政家で、貧しい農家出身ながら600以上の村を復興させた人物です。

気になった部分:「二宮金次郎」の印象

個人的な見解ですが、やはり「二宮金次郎」という名前には、どうしても時代を感じさせる印象が残ります。幼い頃から親しんできた名前や、小学校の銅像のイメージが強く影響してる気がします。
AmazonでDVDのプレビューを拝見しましたが、レビューが一件もなく、コメントや評価も見当たらないのは少々残念です。そのせいか、あまり話題になってない印象を受けました。

別のタイトルであれば、違った層にアピールできた可能性も考えられます。冒頭に二宮金次郎基金の方のコメントが入ってるのを見ると、タイトル変更よりも教育的意義を優先した映画だったのかもしれません。

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率直な感想とあらすじ:人間の本質と金次郎の努力

DVD上映会で観て、二宮金次郎って本当にすごい人だと感心しました。自分とは何一つ共通点がないと感じるくらい、彼の生き方は立派です。

物語は、金次郎の幼少期から始まります。江戸時代後期(1700年代後半)、農家出身の金次郎は、勉強なんて不要だとされる時代に育ちます。でも、彼の父親は「勉強が大切だ」と考えていて、「学問を志せ」という遺言を残して病で亡くなってしまいます。金次郎自身も、どんな状況でも勉強を続ける姿勢が素晴らしいと思いました。

人間の本質って、昔も今も変わらないなと感じました。父親は村人を助けていましたが、亡くなると恩恵を受けた人々は次第に離れていきました。良い時には近づき、困難に陥ると去っていくのは、人間の常なのだろうか。

竹本孝之さんが演じた村人だけが最後まで残ってくれましたが、厳しく当たられ、母親も疲弊して最後には亡くなってしまいます。村人からは「あんな風に落ちぶれたくない」とまで言われて、本当に悲しい場面でした。

母親が亡くなった後、兄弟は分かれて暮らすことになります。でも、金次郎は必死に働き、育ての親から独立して二宮家を再興。父親の影響が大きいんだろうなと感じました。

ゆきとの出会いのいきさつ

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一家総出で復旧作業に励む中、金次郎は名主の娘であるゆきを水難から救います。その恩義からか、ゆきは金次郎に恋心を抱くようになりますが、彼女は名主の娘であり、身分の違いが二人の間には厳然と存在していました。

やがて独立を果たした金次郎は、荒れ果てた二宮の家に戻り、ひたすら仕事に打ち込みます。そんなある日、ゆきが祝言を挙げるという知らせが届きます。彼女の想いに応えられなかった金次郎ですが、ゆきへの淡い恋心を拭い去ることはできませんでした。

その後、幾多の試練を克服し、農村の復興や財政再建で目覚ましい業績を上げていきます。その名声は小田原藩家老・服部十郎兵衛の耳にも届き、服部は金次郎に藩の財政再建を託します。

金次郎は見事その期待に応え、藩の財政を立て直すことに成功します。さらに、荒廃の一途を辿っていた桜町領(現在の栃木県真岡市)の再建、そして600を超える農村の復興と財政再建という偉業を達成します。桜町領での再建作業中、彼は変わり果てたゆきの姿を目にするのでした。

本当の思い:もっと再建の偉業を見たかった

二宮金次郎の物語として、最終的な感想としては、彼の再建事業における偉業をもっと掘り下げて描いてほしかったという思いが残ります。

600を超える村々の復興に尽力した 様子を、より詳細に描写して欲しかったというのが正直なところです。例えば、村人とのやり取りや具体的な再建策のプロセスが見たかったなと。

結論としては決して悪くはないのですが、彼の類まれなる活躍ぶりをもっと深く知りたかったというのが偽らざる気持ちです。 伝記映画って、どうしても幼少期から青年期に焦点が当たりがちで、偉業の具体的な部分が省略されがちだと思うんです。

つくづく才能というものがかけがえのないものであると痛感させられました。

いかなる境遇に置かれようとも、これさえあれば必ずや生き抜いていけるのだという思いを新たにします。

DVD上映会後の感想と色々な思い

このDVDを鑑賞するにあたり、昨年NHK大河ドラマで放送された渋沢栄一のことが脳裏をよぎりました。幕末から明治維新という激動の時代を生き抜き、近代日本の経済的基盤を確立した彼の卓越した才能は、疑うべくもありません。

明治初期の日本を支え、株式会社という概念を導入し、数多くの企業の設立・育成に尽力した彼の先見性、そして富の独占をよしとせず、社会全体の利益を追求した 平等主義の精神 は、特筆に値します。

三菱財閥を築いた 岩崎弥太郎 とは、経営方針や思想において対立関係にありました。事業拡大を最優先とする岩崎に対し、渋沢は社会貢献をより重視する。この二人には、日本の経済の在り方を巡って、根本的な意見の相違が存在していました。

また、太平洋を漂流しアメリカに辿り着いた ジョン万次郎 は、卓越した語学力と適応能力で異文化を生き抜き、日本のために尽力しました。遭難者5名中、彼のみが歴史に名を刻んだのは、並外れた知的好奇心、不屈の精神、そして人間力によるものでしょう。

さらに、福沢諭吉も下級武士出身で、才能ある人物でした。 「天は人の上に人を造らず」という言葉は、確かに耳に心地よく響きます。 でも、この理想と現実の間には埋めがたい隔たりが存在するのかもしれません。

人の生まれながらの境遇、育つ環境、授けられる才能は決して一様ではありません。福沢諭吉の功績は偉業ですが、彼の例を万人に当てはめるのは楽観的すぎる気がします。

社会には格差が依然存在し、努力だけでは越えられない壁もあります。「天は人の上に人を造らず」は、理想を掲げると同時に現実の厳しさをも示唆しているように感じます。

苦労を重ね村を復興させた二宮金次郎も、人間としての強さと先見の明がありました。時代も境遇も異なる四人ですが、彼らの生き様は才能の本質と生き方を教えてくれます。

やはり、才能がなければ成功を収めることは困難なのでしょう。凡庸な私には、それが身にしみて感じられます。

竹本孝之さんは、かつて岸本かすみ(伊藤さやか)と高杉勇作(竹本孝之)を中心に青春時代の恋愛や友情を描いたドラマ『陽あたり良好!』(1982年3月21日〜9月19日、日本テレビ系列)に出演していました。

当時活躍していた竹本孝之さんの活動を思い出し、感慨深く感じます。『陽あたり良好!』の放送から43年、二宮金次郎役からは27年という歳月の流れを改めて実感しました。

あなたは、金次郎の生き方から何を学びますか?