
5/3鑑賞記録 『#真相をお話します』
監督: 豊島圭介
出演: 大森元貴/菊池風磨/中条あやみ/岡山天音/福本莉子/伊藤健太郎/栁俊太郎/綱啓永/田中美久/齊藤京子/原嘉孝/桜井ユキ/山中崇/秋元才加/大水洋介/伊藤英明 ほか
この日、私は109シネマズ高崎で『#真相をお話しします』を鑑賞しました。今年8月いっぱいで閉館予定の劇場で、できるだけ多くの作品をこの場所で見届けたいという気持ちがあります。
正直、鑑賞前は少し不安でした。SNSやネットで盛り上がっている作品は、軽いノリや中身が薄い場合もあると知っているからです。観終わって「失敗だった」と感じるのは何よりも辛いもの。
しかし、この作品は予想をはるかに超え、深く心に刺さる内容でした。
映画は、数年間誰にも気づかれずに続けられていた"ある配信"から始まります。無断で配信されていたのは、親がスマホやパソコンを取り上げ、自然の中で過ごさせようとした子供たちの様子。
それが隠しカメラで撮影されていたことに子供自身が気付いた時から物語は動き出します。その配信に関わる殺人事件が発生し、数年後に再び真相を求めて新たな展開が始まるのです。
私がこの作品を通じて最も強く感じたのは、匿名性の裏に潜む人間の悪意です。インターネットには才能ある人が数多くいる一方で、他人を貶めることに快感を覚える者も存在します。
悪質な書き込みや個人情報の暴露、誹謗中傷は想像以上に簡単に人を傷つけ、時に命さえ奪います。
そして、そうした行為が特定・逮捕される例は決して少なくありません。安易な気持ちで誰かを攻撃することの恐ろしさを、この映画は静かに、しかし強く問いかけてきます。
この映画の個人情報の暴露というテーマは、私自身の求職活動での体験とも重なります。応募書類が返却されないこと、求人票の不備、担当者の説明不足に憤りを感じています。求人票に「応募書類は先方企業が責任を持って廃棄する」とチェックがついていればまだ納得できますが、実際はそうではないケースも少なくありません。
個人情報保護の重要性は言うまでもありませんが、社会の仕組みはシンプルである一方、その運用はとても難しいと痛感します。今の世の中は、数年前よりもさらに厳しさを増しているのではないでしょうか。
この映画は、そうした現代社会の複雑さと向き合う覚悟を観客に求めています。単なる娯楽作や軽いコメディではなく、観た後に考えを巡らせるきっかけを与えてくれる作品です。特にネット社会の暗部、匿名性、責任、良心といったテーマに興味がある方には、ぜひおすすめしたい作品です。
原作があるとはいえ、映画単体でも十分に物語の核を理解し、納得できる仕上がりになっています。
事前情報なしでも安心して鑑賞できますし、むしろまっさらな気持ちで観ることで、より深い感動が得られるでしょう。
鑑賞後、自分は何を感じ、何を思ったのか。しばらくじっと考え込み、自問自答する時間を与えてくれる作品でした。
軽やかさや楽しさを求める映画体験ではありませんが、心に深く残る映画を求める人には、強くおすすめできます。
『#真相をお話しします』公式情報
豪華キャストが集結し、予測不能な展開が待ち受ける衝撃のサスペンスエンターテインメント。

あらすじ
監視カメラが捉える、警備室で生配信チャンネル「#真相をお話します」に見入る男たちの姿。そこは暴露合戦と投げ銭が飛び交う、現代社会の暗部を映し出すゴシップのるつぼと化していた。
かつて大手商事のトップ営業マンだった桐山真司(菊池風磨)は、親友の裏切りで全てを失い、現在は孤独な警備員として働いている。そんな彼の前に現れたのは、謎めいた男・鈴木浩介(大森元貴)。鈴木は桐山に、過去の事件の真相を暴露チャンネルで告白するよう持ちかける。
巨額の投げ銭に目がくらんだ桐山は、葛藤の末に告白を決意。生配信当日、衝撃的な内容が語られ、視聴者は画面に釘付けとなる。借金から解放され、安堵する桐山。
しかし隣の警備室から聞こえてきたのは、冷酷な鈴木の声。
そして配信画面には、不敵な笑みを浮かべる鈴木の顔。

「次のスピーカーは、僕です。」―鈴木が語り始める「真相」とは…。
鑑賞後、自分は何を感じ、何を思ったのか。しばらくじっと考え込み、自問自答する時間を与えてくれる作品でした。
軽やかさや楽しさを求める映画体験ではありませんが、心に深く残る映画を求める人には、強くおすすめできます。
もし、次にあなたがスピーカーになるならば、どんな「真相」を世に訴えかけますか?